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アレルギー学会専門医(小児科)が対応いたします。

食物アレルギー

食物アレルギーという言葉が大分知れ渡ってきていますが、どれを食べて大丈夫で、どれを食べたらいけないのか判断に迷うことがあるかと思います。また、発症したときに食べたものが 1種類であることは少なく、どれで発症したかわからないこともあります。                  気になるあまり特定の食物を食べないままでいると、かえってその食物のアレルギーになりやすくなることがあります。少しずつでも食べることが、食物アレルギーの予防や治療になることがあるということも分かってきました。

正しく食べられるものと食べられないものを評価をすること、実際に安全に食べられるところまでを確認することがとても大切です。

一般的には血液検査が広く行われていますが、実はそれだけでは正しく判断することは難しく、むしろ、食べられるはずの食物を食べられないと判断してしまうこともあります。そのため、注意深くお話を聞き、適切に検査することによって、不必要に食べられない食物を作らないようにする必要があります。当院では、血液検査に加え、皮膚検査、食物負荷試験を行うことで、適切に判断するよう心掛けます。

食物アレルギーの起こる原因の一つとして生後から始まる肌荒れ、アトピー性皮膚炎がきっかけになることが提唱されました(Lack. J Allergy Clin Immunol. 2008)。日本からもそのメカニズムを説明、支持する研究も報告されています(善本. アレルギー. 2008)。荒れた肌に食物の成分が付着して刺激を受けるとそのアレルギーになる方向へ(図の左側のメカニズム「食物アレルギー」)、食べるとアレルギーが大丈夫になる(図の右側のメカニズム「免疫寛容」)方向に向かうことが説明されています。しかし、発症した食材、発症が疑わしい食材は「食べる」、「食べてみる」ことはちゃんと診察、検査、評価をして、より安全に行う必要があります。気軽にご相談ください。

血液検査

アレルギーが有る、無いの評価を血液検査でされることもあるかと思われます。ただ、血液検査で陽性になったとしても、それがアレルギー反応を起こす準備がされているだけなのか、実際アレルギー反応を起こす状況にあるのかを区別することはできません。

血液検査で陽性反応が出ると、つい食べることをためらわれてしまうことがあるかと思われます。血液検査は参考になれどアレルギーがあるか無いかを白黒させるまでの精度はありません。

以下に説明する皮膚検査や計画的な負荷試験で正しく評価する必要があります。

皮膚試験

バイファケイテッドニードル

皮膚試験の1つはプリックテストと言い、当院ではバイファケイテッドニードルという約7cm程度の針金のような器具を使い、食物アレルギー等すぐに反応を起こすタイプのアレルギー判定を行う方法です。

バイファケイテッドニードルを使って、お調べする食材や素材を皮膚に刺激し15分で判定します。出血は原則なく、痛みもシャープペンシルで皮膚を突く程度の刺激でそれほど強くありません。血液検査に項目がなく検査できないものも調べることができます。15分後に判定し結果をお話しできます。

食物負荷試験

食べたことのない食材は特に悩まれると思います。

もちろん生まれてきた子が食べるのは初めてのものばかりですが、肌荒れが強くアレルギーが心配な場合など食べられるか食べられないかを家で試すのは危険な場合があります。

食物負荷試験は、今までの経過、血液検査や皮膚検査に基づき、調べる食材を調理方法や量をより安全に配慮し計画的に医療機関で食べてみる検査です。

アレルギー性鼻炎

花粉症、アレルギー性鼻炎は主にスギをはじめとした花粉や環境にあるダニ、カビ、ペットのフケや毛などによりアレルギー反応が起こり、鼻では鼻みず、くしゃみ、鼻づまりを起こします。

食物アレルギーと同様に注意深くお話を聞き、鼻の診察を行い、必要に応じ血液検査、鼻汁検査、皮膚検査を行いアレルギー性鼻炎の診断、原因の確定を行います。

治療は以下の3つを行います。① 環境整備、原因の回避、除去を説明します。② 薬による症状を緩和する治療を過不足なく行うよう努めます。③ 舌下免疫療法といい、舌の下に薬物を投与することにより体質自体を特定の原因に対するアレルギー反応を起こしづらくする治療法です。スギ花粉とダニに対する治療が可能です。

鼻うがいも有効です!

花粉症

花粉症は木々や雑草の花粉によってアレルギー性鼻炎を起こすことを言います。特にスギによる花粉症は毎年悩まれる方が特に多い状況です。

受験生はちょうど試験を受ける時期が花粉の飛散に重なるためつらいことと思います。

スギ花粉症には回避する、症状を抑える治療のほかに舌下免疫療法という選択肢があります。毎日舌の下側にスギの成分が入った薬を置くことでスギに体を慣らしてしまうイメージです。4年間前後治療する必要がありますが、治療終了後も平均7、8年間と合計10年間以上効果を期待できます。

他の植物の花粉による花粉症は舌下免疫療法は出来ませんので、治療を希望される場合はそのシーズンになる前から抗アレルギー薬を投与するなどの対症療法を行うことになります。その判断には症状がいつごろ(何月)頃に始まり、終わるのかが大変大切な情報になります。ご自身、お子様の状況を確認することが大切です。

*現在スギ花粉症に対する舌下免疫療法の薬剤(シダキュア)の流通の問題で開始する方をお待たせしております。ただ、開始する前に確認しておくべきことや来シーズンに向けて他の対処法に関してお話し出来ることがあるかもしれません。気軽にご相談ください。

ダニアレルギー、ハウスダストアレルギー

ダニアレルギーはホコリアレルギー、ハウスダストアレルギーと概ね同じ意味となります。

ホコリがたつとくしゃみ、鼻水が出るアレルギー性鼻炎症状だけではなく、気管支喘息やアトピー性皮膚炎への影響もあります。

ダニの成分が環境中に多ければ多いほど、ダニのアレルギー体質になる、さらにダニアレルギー症状を発症するようになることが分かっています。家の掃除、布団の対処がとても大切です。

ダニアレルギーにはスギ花粉と同じように舌下免疫療法(アシテア、ミティキュア)があります。アレルギー性鼻炎が治療の対象となりますが、先にお伝えしたようにダニが強く影響している気管支喘息やアトピー性皮膚炎のある患者さんへの効果も期待されるところです。ただ、気管支喘息の状態が良くない時はこの治療が出来ませんのでご注意ください。

アトピー性皮膚炎

アレルギーマーチという言葉をご存知でしょうか。同愛記念病院小児科にいらっしゃった馬場實先生が提唱し世界中で認められている概念です(下図)。乳児期早期はアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、乳幼児期に気管支喘息、幼児期以降にアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎というように、アレルギー疾患は年齢ごとに発症しやすい疾患が変化します。このように次々と変化して別の疾患が出現する様を指してアレルギーマーチと呼び、現在ではアレルギーの分野においては世界で使用される言葉となっています。この根幹にあるアトピー性皮膚炎に対する速やかな適切な対応が今後のアレルギー症状の対応に大きく関わっていくことが考えられています。このことは上の「食物アレルギー」の欄にも、下の「気管支喘息」の欄にも皮膚のアレルギーへの影響が書かれています。家族にアレルギーがある方は「乳児湿疹だからそのうちに治る」とそのままにせず、早めに受診することをお勧めします。

皮膚の治療には、原因となるものを取り除くことがまず 1番大切になります。食べ物が原因になる場合はその見極めが大切になりますし、ダニなどホコリの成分が原因と考えられる場合は掃除の仕方をはじめとした環境整備やお風呂やシャワーなどにより皮膚を清潔に保ち原因となるものが皮膚に付いたままにしないことも大切になります。

次に保湿により皮膚のバリアを高めることも重要です。子どもの皮膚は薄く簡単に環境の影響を受けてしまいます。

3つ目が先にもお伝えしましたが、皮膚に炎症が起きているところ(赤くかぶれているところ、場合によりざらざら、じゅくじゅくするところなど)は早く治めることが重要となります。炎症を長引かせることによりアレルギーを発症したり、悪化したり、長引いたりする場合があることが分かってきました。

皮膚をいい状態に保つことで日々の生活もかゆみから解放され、いい睡眠が取れると子どもの成長にもいい影響が出ると考えられます。ご家族もお子さんの皮膚の状態が思わしくなく夜も起きてしまい辛い思いをすることがあるかと思われます。アレルギーの進行も防ぐことが期待でき、いいことづくめです。スキンケアの仕方もお伝えできればと思います。

気管支喘息、小児喘息

喘息は、風邪などの感染症やほこり、煙などをきっかけに空気の通り道である気道(気管支)が狭くなりゼーゼー、ヒューヒューした呼吸になる病気です。

回数が少なく、軽ければ元に戻りますが、あまり繰り返してしまうと元に戻らず気道の質、呼吸機能が悪くなります。そこで、喘息であると診断されれば普段からゼーゼー、ヒューヒューが起こらないような治療をすることが大切になります。時々しか起こらない発作に対応した方がいい理由がそこにあります。

また、喘息はほこり、ダニ、ペット、環境汚染といった環境による原因や家族のアレルギー体質、自分のそれ以外のアレルギー、性別(男子)などの遺伝的な原因などが影響します。変えようがない原因もありますが、対応して改善できる原因もあります。掃除の仕方、寝具の扱い方、家具に関すること、タバコについてなどがそれに当たると思います。ご相談ください。